フィボナッチは、自然界の法則や建築、金融市場に至るまで世界中の様々な分野で共通する黄金比として知られており、
為替相場で役立つテクニカルツールの開発にも使われます。
フィボナッチエクスパンションは、このようなフィボナッチを基にしたテクニカルツールの1つであり、世界中のトレーダーに利用されているのです。
「フィボナッチエクスパンションって一体何なのか?」
「他のフィボナッチ系ツールと何が違うのか?」
フィボナッチエクスパンションと聞くと、上記のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?
フィボナッチエクスパンションは、将来における価格変動を予測するのに特化したツールであり、利確ターゲットを探すために役立ちます。
この記事ではフィボナッチエクスパンションについて、基本的な見方や、他のフィボナッチ系ツールとの違いなど、詳しく解説していきます。
実際の為替相場チャートを使って、フィボナッチエクスパンションを活用したトレード手法も解説しているのでぜひ参考にしてください。
この記事の目次
フィボナッチエクスパンションとは一体
フィボナッチエクスパンションとは、0.618(または61.8%)、1.618(161.8%)など、フィボナッチ数列の比率に基づいて開発されたテクニカルツールです。
以下のように赤い線でフィボナッチを使いたい価格を選ぶと、
今後価格がどこまで推移する可能性があるのかのターゲットをフィボナッチ数列に基づいて表示できるのが特徴です。
ラインは下から、61.8%、100%、161.8%となっています。
例えば、一番下に表示されている61.8%ラインの場合、
上昇トレンドの起点となった価格から、赤色で選択した値幅の61.8%分押し目から上昇していることを表しています。
フィボナッチリトレースメントやエクステンションとの違い
フィボナッチ数列に基づいて開発されたテクニカルツールには、他にも「フィボナッチリトレースメント」や「フィボナッチエクステンション」などがあります。
フィボナッチリトレースメントとは、トレンド発生時、押し目や戻りのターゲットを測定するために使用されるツールです。
またフィボナッチエクステンションとは、フィボナッチエクスパンションと同様、将来における価格推移の予測に役立つフィボナッチツールです。
ただしフィボナッチエクステンションとフィボナッチエクスパンションは仕組みが同じようで、実は異なります。
フィボナッチエクスパンション(赤枠)は「フィボナッチリトレースメント」の値をもとに、絶対的な将来の価格ターゲットを表示します。
対して、フィボナッチエクスパンションは、
トレンド内の安値(高値)、高値(安値)、押し目(戻り)から相対的に将来の価格ターゲットを予測できるツールなのです。
一言でフィボナッチをもとにしたテクニカルツールといっても、それぞれ使い道が異なるので、目的に合わせて使い分けなければなりません。
フィボナッチエクスパンションは利確で使う
将来価格の予測に適したフィボナッチエクスパンションは、トレードの利益確定ポイントを決めるのに役立ちます。
例えばあるトレンドの押し目でポジションを保有したとします。
トレンドの起点から、途中の高値、ポジションを保有した押し目の順にフィボナッチエクスパンションを引くことで、どこで利益確定をするべきなのかが明確になるのです。
またフィボナッチエクスパンションが利確に使えるということは、相場の反転位置の参考にもなるということです。
利確で使うのが基本ですが、逆張りエントリーのポイントを見極めるために使ってみるのも1つの手です。
フィボナッチエクスパンションの引き方(MT4版)
それでは、実際にMT4でどのようにフィボナッチエクスパンションを引くのか、以下の順を追って解説していきます。
・MT4画面上部からフィボナッチエクスパンションをクリック
・実際にフィボナッチエクスパンションを引く
それぞれ説明します。
手順1:相場のトレンドを確認する
まずはフィボナッチエクスパンションを引く対象となるトレンドをチャート上で確認します。
今回は上昇トレンド確認後、赤色の部分でエントリーしたとして実際にフィボナッチエクスパンションの引き方を見ていきます。
手順2:MT4画面上部からフィボナッチエクスパンションをクリック
MT4画面上部から「挿入」→「フィボナッチ」→「エキスパンション」の順に選びます。
手順3:実際にフィボナッチエクスパンションを引く
チャート画面上にてまずは、トレンドの安値をクリックします。
そして高値、押し目の順にドラッグすると赤いラインが表示され、同時にフィボナッチエクスパンションの各ラインが描画されます。
実際にフィボナッチエクスパンションを引いてみると、青枠の部分でラインがレジスタンスやサポートラインとして機能していることが分かります。
フィボナッチエクスパンションの設定
MT4におけるフィボナッチエクスパンションのデフォルト設定では、61.8%、100%、161.8%の3本のラインが表示されています。
設定画面にて数値を追加することができますが、多くのトレーダーがデフォルトの設定を利用しているので、デフォルトの数値は変更しないようにしましょう。
ただし、フィボナッチ数列の数値を1つか2つ追加してみることはオススメです。
今回は、フィボナッチ数列の1つである138.2%を追加してみました。
チャートに再度フィボナッチエクスパンションを引いてみると、デフォルトの数値では分からなかった高値もしっかりと予測できていることが分かります。
ただしあまりにもラインを追加しすぎると、判断に迷ってしまう原因となるので注意が必要です。
フィボナッチエクスパンションを使ったトレード手法
フィボナッチエクスパンションを使った実践で使えるトレード手法について解説していきます。
先ほどは上昇トレンドでフィボナッチエクスパンションを使いましたが、下落トレンドでも機能します。
まずは20期間単純移動平均線(ピンク)を使って、下落トレンドを探します。
移動平均線が下を向き、かつ赤の水平ラインを明確に下に割れたことを確認して、水色の枠付近でショートエントリーをします。
エントリー後は、下落の起点と安値、戻り(エントリー位置)にフィボナッチエクスパンションを適用します。
適用した後の価格推移を見てみましょう。
綺麗にフィボナッチエクスパンションのライン付近で価格が反発していることが分かります。
ただし、このように綺麗にライン上で価格が反転すると、どのラインで決済を行えばよいか迷う方もいるでしょう。
決済に迷った場合は、ラインごとに部分決済をすることをオススメします。
上記の場合、100%ラインに到達で4分の1、132.8%ラインに到達で残りの2分の1、最後に161.8%ライン到達で全決済といった流れです。
【まとめ】FX・為替で利益を狙う
フィボナッチエクスパンションについて、基本的な使い方から、MT4での具体的な引き方、実践で活用できるトレード手法について詳しく解説しました。
フィボナッチエクスパンションは、FXでよく機能するフィボナッチ数列を用いたテクニカルツールであり、市場における将来の価格動向を予測する上で重要です。
今回紹介した引き方からも分かる通り、フィボナッチエクスパンションは実際の相場においても十分機能するのです。
ただしどのような分析ツールであっても絶対的なものではないことを忘れないでください。
適切なリスク管理をした上で、高いリスクリワードを叩き出せるような利益確定ターゲットを予測するために活用することで勝ちトレーダーへ一歩近づけるのです。