FXに取り組んでいる方なら誰しも一度は「一目均衡表」というインジケーターを聞いたことがあるでしょう。
一目均衡表は、株式評論家「細田悟一」によって開発された日本初のインジケーターであり、
一目であらゆる相場状況を把握できることから多くのトレーダーに活用されています。
「一目均衡表を使ってみたけどなんだかよく分からない。」
「実際のトレードで簡単に一目均衡表を使える方法を教えてほしい。」
「一目均衡表」と聞くと上記のような疑問や要望を持つ方も多いのではないでしょうか?
一目均衡表は一見複雑そうに見えますが、使い方はシンプルであり、一度仕組みを理解できれば、エントリーから決済まで誰でも使いこなせます。
この記事では一目均衡表について、基本的な見方から実際にトレードで活用する方法に至るまで、詳しく解説していきます。
実際の為替相場チャートを使って、一目均衡表を活用したトレード手法も解説しているのでぜひ参考にしてください。
この記事の目次
一目均衡表って何?
一目均衡表とは、その名の通りトレンドや相場参加者の心理状況などを「一目」で確認できるインジケーターです。
一目均衡表は、以下の4つの要素から構成されています。
基準線(黄):過去26日間の最高値と最安値の平均値を結んだライン
遅行線(遅行スパン):当日の終値を26日前に遅らせて表示させたライン
先行スパン:先行スパン1(オレンジ)と先行スパン2(白)の2種類がある
各構成要素の特徴をみても分かる通り、一目均衡表は時間軸をずらしてラインを表示することで、
異なる時間軸同士の値動きを比較したり、未来を予測できたりします。
それぞれの見方や使い方については後ほど詳しく解説します。
また一目均衡表を活用する際に覚えておきたいのが、以下の3大理論です。
波動論:3つの波動パターンから相場動向の予測を行う理論
水準論:相場の上値や下値を算出するための理論
一目均衡表で表示されるラインと3大理論を組み合わせることが、一目均衡表を使いこなすためのコツです。
一目均衡表の基本的な見方や使い方
一目均衡表を構成する各要素の基本的な見方や使い方について詳しく解説していきます。
中期トレンドが分かる基準線
相場参加者の心理を分析する遅行線
現在と未来の相場水準を比べる先行スパン
それぞれ説明します。
その1:短期トレンドが分かる転換線
一目均衡表の転換線(赤色のライン)とは、過去9日間(当日を含める)における最高値と最安値の平均値を結んだラインであり、以下の計算式で算出されます。
過去9日とは、金融市場における約2週間の営業日にあたるので、転換線は相場の短期的な水準やトレンドを表したラインだということになります。
見方はシンプルで、転換線が上を向いていると短期上昇トレンド、下を向いていると短期下落トレンドです。
その2:中期トレンドが分かる基準線
一目均衡表の基準線(黄色のライン)とは、過去26日間(当日を含める)における最高値と最安値の平均値を結んだラインであり、以下の計算式で算出されます。
過去26日とは、金融市場における約1ヵ月の営業日にあたるので、基準線は相場の中期的な水準やトレンドを表したラインだということになります。
見方は基準線と同じで、基準線が上を向いていると中期上昇トレンド、下を向いていると中期下落トレンドです。
その3:相場参加者の心理を分析する遅行線
一目均衡表の遅行線(ピンクのライン)とは、当日の終値を26日前に遅行させて(チャートの左へずらして)表示させたラインです。
26日前に当日の終値をずらすことで、現在の価格帯が約1ヵ月前と比べてどのような水準にあるのかを確かめることができます。
基本的な見方は以下の通りです。
遅行線がローソク足よりも下にある:売り手有利
遅行線がローソク足よりも上の位置にあると、約1ヵ月前に買い取引をしていた人は現在含み益、空売りをしていた人は含み損を抱えていると分かるのです。
つまり遅行線は、相場参加者の心理を分析するために役立つラインなのです。
その4:現在と未来の相場水準を比べる先行スパン
先行スパンには、「先行スパン1(オレンジ色のライン)」と「先行スパン2(白色のライン)」の2種類があります。
先行スパン1とは、転換線と基準線の平均値を26日先行させて(チャートの右側にずらして)表示したラインです。
短期トレンドを表す転換線と、中期トレンドを表す基準線の平均値をとることで、短期・中期両方の相場状況を把握できるようになります。
先行スパン2とは、過去52日間における最高値と最安値から算出した平均値を26日先行させて(チャートの右側にずらして)表示したラインです。
過去52日間(約2ヵ月の営業日)の平均値をとることで、長期の相場状況を把握できるようになります。
先行スパンではラインをチャートの右側にずらすことで、現在と未来の相場価格を比較できるようになるのです。
また先行スパン1と先行スパン2の間に囲まれた空間を「雲」と呼びます。
あとで紹介しますが、雲はサポートやレジスタンスとして機能をしたり、
トレンド転換のサインが視覚的に分かりやすく確認できたりするので、一目均衡表を使う際には重宝されます。
一目均衡表を使った3つのテクニカル分析
一目均衡表を使ったテクニカル分析方法として、以下の3つを紹介していきます。
雲はサポートやレジスタンスとして機能する
三役好転と三役逆転は最も強い売買シグナル
それぞれ説明します。
その1:転換線と基準線のクロスに注目する
一目均衡表を使う際は、短期の相場水準を表す転換線(赤色のライン)と中期の相場水準を表す基準線(黄色のライン)のクロスに注目してください。
転換線と基準線のクロスが表す売買サインは、以下の通りです。
転換線が基準線を下回る(デッドクロス):売りシグナル
時間軸が異なる移動平均線を組み合わせた際の使い方と同じだと考えると分かりやすいでしょう。
その2:雲はサポートやレジスタンスとして機能する
先行スパン1と先行スパン2の間に囲まれた空間である「雲」は、相場におけるサポートラインやレジスタンスラインとして機能します。
それでは実際のチャートを見てみましょう。
上昇トレンドでは、雲をサポートとして押し目が作られて価格が上昇していることが確認できます。
一方下落トレンドでは、雲がレジスタンスとなり相場の下落が続いていることが分かります。
また雲の色(先行スパンの位置関係)が変わる部分は、「雲のねじれ」と呼ばれて、トレンド転換のサインを表します。
雲のねじれは、トレンドの早期発見や保有ポジションの決済にも利用できるので覚えておきましょう。
その3:三役好転と三役逆転は最も強い売買シグナル
三役好転と三役逆転は、一目均衡表を使ったテクニカル分析の中でも最も強い売買シグナルです。
まずは三役好転から見ていきましょう。
三役好転とは、以下の条件が揃うと成立する最も強い買いシグナルです。
遅行線が相場価格を上抜ける
相場価格が雲を上抜ける
一方で三役逆転とは、以下の条件が揃うと成立する最も強い売りシグナルです。
遅行線が相場価格を下抜ける
相場価格が雲を下抜ける
三役好転と三役逆転の成立に必要な3つの条件全てが成立しないと、売買シグナル発生とならないことは覚えておきましょう。
一目均衡表のおすすめ期間設定
MT4では、一目均衡表の「転換線」「基準線」「先行スパンB(2)」の設定変更が可能です。
MT4では以下のようにデフォルト設定がされていますが、設定をそのまま利用することがオススメです。
一目均衡表の各要素の設定は、開発者である日本人の株式評論家「細田悟一」が研究を重ねて発案した「時間論」に基づいています。
したがってどれか1つの設定を変更してしまうと、時間論が成り立たなくなってしまったり、他の要素の設定までも変更しなければならなくなったりしてしまうのです。
したがって一目均衡表は、デフォルト設定を活用するようにしましょう。
FXで勝てる一目均衡表のトレード手法
一目均衡表を使ったトレードでは、三役好転と三役逆転を使うのが基本です。
三役好転を例に、どのような順番で条件が成立していくのか、どのタイミングでエントリー・決済を行えばよいのか見ていきましょう。
まずは遅行線がローソク足を超えて、買い手有利の相場が到来します。
そして転換線が基準線を上抜けてゴールデンクロスし、短期相場のモメンタムが高まります。
最後に短期で勢いづいた相場価格が、完全に雲を上抜けて三役好転の成立です。
三役逆転も三役好転と同じ流れで条件が成立します。
遅行線がローソク足を下回って、売り手有利の相場が到来。
そして転換線が基準線を下抜けてデッドクロスし、短期で勢いづいた相場価格が雲を下回るのです。
決済タイミングは、三役好転の条件どれか1つの条件が崩れたタイミングです。
ただし、時には今回解説した順番とは異なる順序で売買条件が成立することもあります。
そのような場合はイレギュラーな価格変動が発生している可能性が高いので、エントリー時には注意をしてください。
【まとめ】為替での一目均衡表の使い方や見方
世界中で多くのトレーダーに活用されている一目均衡表について、基本的な見方やテクニカル分析方法、活用の仕方に至るまで詳しく解説しました。
一目均衡表は構成要素が多く、一見使い方が難しそうなインジケーターに見えるかもしれませんが、中身は非常にシンプルだと分かっていただけたのではないでしょうか。
一目均衡表をFXで活用する際に最も役立つのが「三役好転」と「三役逆転」です。
まずは実際の相場にて、三役好転・三役逆転が発生しているのかを確認してみてください。